1.政府・与党は、11月30日で終了する予定であった第192臨時国会の会期について、社民党はじめ多くの野党の反対にもかかわらず、12月14日まで延長する件を強行した。TPPと「年金カット法案」の強行のための会期延長は認められない。社民党は、議会制民主主義の空洞化につながる、政府・与党の党利党略の国会運営に断固抗議する。
2.国会法第68条は、「会期中に議決に至らなかつた案件は、後会に継続しない」と会期不継続の原則を定めている。これは、議会制民主主義をつらぬくために、多数派の横暴を防ぎ、少数意見を保護するという役割を果たしている。期間内に成立しなかった法案は審議未了・廃案とすべきであり、どうしても延長が必要だというのであれば、与野党で協議し、全会一致の合意を図るべきである。
3.安倍首相が「信頼を確信」したトランプ次期アメリカ大統領は、21日のビデオ声明でTPPからの撤退を改めて表明し、オバマ政権も22日、任期中の議会承認を断念する考えを正式表明した。アメリカが批准せず発効が絶望的になったTPP承認及び関係法案については、採決を急ぐ理由はまったくない。政権のメンツから成立をごり押しするために、条約の「30日ルール」の活用も視野に入れた延長であるならば、良識の府である参議院の審議権を侵害し、参議院そのものの否定にもつながりかねない。
4.衆議院厚生労働委員会での審議が尽くされていない中、不正常な状況で採決が強行された「年金カット法案」は、高齢者の生活に重大な影響を与えるものであり、国民の多くが不安を感じている。今後の選挙のマイナス要因を早く除去する思惑で、「年金カット法案」を強引に押し通そうとするための延長は認められない。
5.したがって、社民党は、国民の利益にならない条約及び悪法の成立を強行するための延長には断固反対する。なお、会期延長が決まった場合は、国民の声をしっかりと受け止め、徹底した論陣をはり、言論の府、立法府としての役目を果たせるよう全力を上げる決意である。
以上