1.本日、野党4党は国会対策委員長会談を開き、先月30日に強引に審議入りした、カジノを含むIR(複合観光施設)を推進するための「カジノ解禁法案」(特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案)について、審議が不十分であるとして、採決反対で一致して行動していくことを確認した。議員立法の審議は与野党合意が原則であり、しかも刑法が禁じる賭博に民間業者が営むカジノという新たな例外を認めようとする法案であればなおのこと、幅広い合意を求めるのが当然である。しかし、委員長の職権で開催された衆議院内閣委員会は、野党第1党が反対し、連立与党の公明党も異例の自主投票という対応の中で、「カジノ解禁法案」の採決を強行した。悪法でも数の力で押し通してしまえといわんばかりに、採決強行を連発する、自民党と安倍政権の強権姿勢に対し、断固糾弾し抗議する。
2.2016年6月の日本世論調査会の世論調査では、国内のカジノ設置に反対する人が65%に上り、賛成の30%を大きく上回っているように、多くの国民が不安や懸念を抱いている。しかし本法案の審議時間は、わずか2日間・計6時間にとどまり、専門家や有識者による参考人質疑も行われていない。関係閣僚の出席や地方公聴会の実施など、2年前に与野党で合意していた審議のルール自体が守られていない。
3.しかも、刑法が禁じる賭博罪の例外を作ることの是非、ギャンブル依存症や多重債務者の発生の問題、射幸心をあおり勤勉な国民性を損なう懸念、反社会的勢力の関与、マネーロンダリング(資金洗浄)や横領、脱税など犯罪の発生、治安や風俗環境、地域環境の悪化、青少年の健全育成への悪影響等々、カジノを解禁することによるさまざまな不安や疑問が解消されたとは到底言えない。IRの経済効果やリゾート開発の検証も不十分である。
4.異例にも15項目もの附帯決議が付されたこと自体、本法案に問題点が山積し、審議が生煮えであることを表している。本来、これらの論点ごとに丁寧に審議を行い、問題点を解明し不安や懸念を払拭することが委員会の果たすべき役割である。自民党などは、6日の衆院本会議で可決・通過させる構えだが、国民への説明責任も果たされず、不安や懸念が残る形での強行は断じて許されない。
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